アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
ドアの向こうに座っていたのは優しそうな顔をしたリアゴールド家の公爵様だった。彼を訪ねて書斎まで来たのだから当然といえば当然である。けれどその顔は想像以上に柔らかかったのである。そう、それは家族に向ける顔なのだ。
社交界の、いつ何時足をすくわれるか分からずに、気を引き締めている時の顔とはまるで違う。落ち着いてその人の目を見ていると、メガネをはずしてにっこりと笑みを向けられる。
「どうしたんだい?」
笑った時に目尻が下がるところとか、少し右側に首が傾くところとか、マリー様とそっくりだ。
そう思うと途端に目の前の男性が『リアゴールド公爵家の当主様』から『マリー様のお父様』へと変わっていく。どちらも同じ人物でありながら、なぜか後者だと思うと安心感さえ覚えてしまうのだ。緊張でこわばっていた身体からゆっくりと余計な力が抜けていくのを感じた。
どうやらそれは手を通してマリー様にも伝わっていたらしい。
「お父様。こちら、アイヴィーよ」
マリー様は私と繋がった手をぎゅっと握って、そして頬を綻ばせた。
社交界の、いつ何時足をすくわれるか分からずに、気を引き締めている時の顔とはまるで違う。落ち着いてその人の目を見ていると、メガネをはずしてにっこりと笑みを向けられる。
「どうしたんだい?」
笑った時に目尻が下がるところとか、少し右側に首が傾くところとか、マリー様とそっくりだ。
そう思うと途端に目の前の男性が『リアゴールド公爵家の当主様』から『マリー様のお父様』へと変わっていく。どちらも同じ人物でありながら、なぜか後者だと思うと安心感さえ覚えてしまうのだ。緊張でこわばっていた身体からゆっくりと余計な力が抜けていくのを感じた。
どうやらそれは手を通してマリー様にも伝わっていたらしい。
「お父様。こちら、アイヴィーよ」
マリー様は私と繋がった手をぎゅっと握って、そして頬を綻ばせた。