アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
「けれど、マリー。アイヴィーさんは今、アッシュ家のメイドとして働いているんじゃあなかったのかい? これでなかなか会えなくなってしまうと、つい昨日までご機嫌斜めだったじゃないか」
「そう、それよ。お父様。実は私、今日ディートリッヒ様から無理矢理アイヴィーを取り上げたの」
「そ、それは……」
「もちろん明日にはちゃんと謝るけど、何かあったら困るから伝えておこうかと思って」
「その割には良い顔をしているんだね」
「ええ。だってやっとアイヴィーに恩返しが出来るんだもの!」

 そうはっきりと言い切ったマリー様の顔に後悔はない。むしろ清々しいほどの顔である。恩返しなんてしてもらうほど、私、たいしたことは出来ていない。だからこの借りはいつか返させてもらうことにしようと心に決める。

「そうか……。アイヴィーさん、うちの子が迷惑かけてすまないね。けれど悪気はないんだ。これからも仲良くしてくれるかい?」
「もちろんです!」
 力強く返事を返す。
 すると公爵は嬉しそうに顔を綻ばせるのだった。



「さてアイヴィー。あなたには話さないといけないことが沢山あるわ。今夜は眠れないと思ってね!」
「はい」
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