アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 公爵と別れた私達は用意してもらった軽食を取って、マリー様の部屋へと向かった。ピンクと白をベースに品良く彩られたその部屋を一言で表すならば『お姫様の部屋』である。なんともマリー様にぴったりの可愛らしい部屋だ。その部屋の真ん中に位置するキングサイズのベッドの上で、私達2人は秘密を共有するために顔を寄せる。

 まるで悪いことでもしているみたいだ。
 けれどマリー様の顔はなんとも楽しそうで、両方の口端は上を向いている。

 そして私はといえば、これから聞かされることに期待して……その反面で怯えてもいた。胸はバクバクと大きく振動して、『早く終わらせてくれ』と『終わらせないでくれ』と正反対のことを訴え続ける。
 矛盾しているけれど、きっとこれが恋愛というものなのだろう。

 厄介で、けれど大事なもの。
 進むことや退くことよりもその場に居続けることの方がずっと辛いのだ。けれど動くには勇気が必要だった。大きな気持ちが。私は退くための勇気は持っていて、けれどそれを進むための勇気にしたがっているのだと思う。そう思うと恋愛が厄介だというよりも、私が我が儘なのよね……。

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