アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
 恥ずかしくて。けれど嬉しくて。
 本人からの言葉ではないことは分かっていても、なんだか自分のこの思いは無駄ではなかったと思えるから。
 うっすらとあふれる涙を指先で拭って、まだまだあるわよ! と笑う少女に期待の目を向けるのだった。


「それからディートリッヒ様と顔を会わせる度、私は不思議なメイドの話をせがんだわ。その時はシンドラー王子のことで頭がいっぱいだったけど。でもそこであなたの話を沢山聞いたの。全ての窓が空いた部屋で吹き込む爽やかな風に髪をたなびかせる姿は風の精のようだったとか。窓から庭園を見つめながら、きっと王子は庭園にいらっしゃるかと……と教えるその優しい眼はまるで花を慈しむ聖母のようだとか。今考えると惚れた女の子のことばっかり話すのってどうなのかしらね! ってまぁ、私もディートリッヒ様にシンドラー様のことばかり話していたからお互い様だけど……」

 王子を匿っている間、そんな目で見られていたなんて。
 王子が例えた『妖精』はきっといたずら好きのピクシーみたいなものだろう。

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