アイヴィーの花冠 ~シスコンと恋愛を拗らせた私はこの度、好きな人の屋敷でメイドとして働くことになりました~
「やめてください。そんな、頭なんて下げないでくださいよ。昨日のことならディートリッヒ様からお聞きしておりましたし。それに何よりあなたがこうして帰ってきてくれるだけで……」
ベルモットさんは頭を下げる私の肩に手を置いて、とにかく頭を上げてくれと懇願する。
「ですが……」
帰ってきただけで、とは私への期待値が低すぎやしないか。
今回はマリー様が強く出たということもあるだろうが、それにしたって、さすがに職場を勝手に放棄して逃げたりはしない。
働いた経験と言えばアッシュ家と城の二カ所だけだが、それくらいの常識はあるつもりだ。だからそんなことで喜ばれると悲しいものがある。
「それではアイヴィーさんの帰還をお祝いしてお茶にしましょう」
「帰還っていくら何でも大げさじゃ……」
「『帰還』です! あ、そうだ。アイヴィーさん。今日のおやつはフィナンシェですよ」
「フィナンシェですか!」
「はい。昨日、邪魔してしまったお詫びに、とディートリッヒ様のご指示で。濃いめの紅茶を用意しますので、先に庭園の方に向かっていてください」
「用意なら私がしますよ」
「いえいえ。お祝いですから」
ベルモットさんは頭を下げる私の肩に手を置いて、とにかく頭を上げてくれと懇願する。
「ですが……」
帰ってきただけで、とは私への期待値が低すぎやしないか。
今回はマリー様が強く出たということもあるだろうが、それにしたって、さすがに職場を勝手に放棄して逃げたりはしない。
働いた経験と言えばアッシュ家と城の二カ所だけだが、それくらいの常識はあるつもりだ。だからそんなことで喜ばれると悲しいものがある。
「それではアイヴィーさんの帰還をお祝いしてお茶にしましょう」
「帰還っていくら何でも大げさじゃ……」
「『帰還』です! あ、そうだ。アイヴィーさん。今日のおやつはフィナンシェですよ」
「フィナンシェですか!」
「はい。昨日、邪魔してしまったお詫びに、とディートリッヒ様のご指示で。濃いめの紅茶を用意しますので、先に庭園の方に向かっていてください」
「用意なら私がしますよ」
「いえいえ。お祝いですから」