政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
(結局、あんな形で抱いたんだから、今さら言い訳もできないけどな……)


昨夜のことが頭から離れない慧が、深いため息をつく。


強引に抱いてしまった。すみれが離婚を考えていると知った途端、冷静ではいられなかったのだ。


簡単に離婚などできるはずはない。そんな風にも思ったが、果たして本当にそうかと言われれば先々のことはわからない。


なによりも、真輔への嫉妬もあった。すみれは、もしかしたら彼が好きだったのではないだろうか……と思ったのだ。


幼なじみで、家族ぐるみの関係。食事会の日、真輔とすみれの会話は多くはなかったものの、慧と話すときよりもずっとリラックスしているように見えた。


当然だと頭ではわかっていても、歯がゆく悔しかったのも本音だ。
そんな中、すみれと美弥の会話を聞いてしまい、冷静ではいられなかった。


セックスのあと、すみれは意識を手放した。彼女は初めてだったのに最後には気遣えなかったのだから、無理もないだろう。


すみれの身体を綺麗に拭いて一緒に眠ったが、彼女は今朝もよく寝ていた。
今日は、寝室を出てからすみれと顔を合わせていない。慧がいつもよりも早く家を出たせいだと思いたいが、彼女が起きてこなかったからだ。


本当に寝ていたのか、気まずかったのか。はたまた、慧の顔も見たくなかった可能性だってある。
反省と後悔とともに、不安が消えなかった。


その一方で、覚悟が決まったのも事実だ。


昨夜の慧は、すみれを抱きながら『すみれを誰にも渡す気はない』と告げた。
あの言葉で、自分の気持ちは彼女にバレてしまったに違いない。だったら、もう無理に隠さなくてもいいのだ。


罪悪感も後悔も消えないかもしれない。それでも、せめてこれからはすみれへの想いに従い、彼女をとことん甘やかせようと思い始める。


手始めになにをしようかと考えたとき、ドアがノックされた。

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