政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
会社について程なく、コートのポケットに入れていたスマホが震える。ディスプレイには、慧の名前が表示されていた。
「もしもし?」
高鳴った鼓動を諫めつつ、対応する。周囲の目が気になって、始業時間前なのを確認して人気のない場所に移動した。
『すみれ、ケーキうまかったよ』
「えっ?」
電話口の彼の言葉に、目を大きく見開いてしまう。
『さっき帰ってきたんだ。手紙もケーキもありがとう。昨日から準備してくれてたんだろ? それなのに、帰れなくて悪かった……』
「そんな……お仕事だったんですし、仕方ありません。ケーキを食べていただけたので嬉しいです。でも、朝から重かったですよね」
少しだけ申し訳なくなる。まさか朝に食べてもらうと思っていなかったため、チョコレートたっぷりのケーキにしてしまったことを後悔した。
『昨夜からなにも食べてなかったから、そんなことなかったよ。むしろ、もう一個くらいは余裕だったな』
慧らしくない言い方だった。冗談か本気かわからないが、リップサービスにしては声音が優しい気がする。
「じゃあ、また今度作ります」
『……ああ』
一拍置いた返答も、やっぱり穏やかに聞こえた。たった二文字なのに、なぜかそんな風に思ったのだ。
「あの、今夜は帰れますか? もしよかったら、ご飯を置いておきます」
『ごめん。昨日のトラブルで、今夜も帰れそうにない』
思い切って尋ねてみたが、彼の返事に肩を落としてしまう。頭ではそれほど忙しいのだとわかるのに、心は寂しさに覆われていった。
「もしもし?」
高鳴った鼓動を諫めつつ、対応する。周囲の目が気になって、始業時間前なのを確認して人気のない場所に移動した。
『すみれ、ケーキうまかったよ』
「えっ?」
電話口の彼の言葉に、目を大きく見開いてしまう。
『さっき帰ってきたんだ。手紙もケーキもありがとう。昨日から準備してくれてたんだろ? それなのに、帰れなくて悪かった……』
「そんな……お仕事だったんですし、仕方ありません。ケーキを食べていただけたので嬉しいです。でも、朝から重かったですよね」
少しだけ申し訳なくなる。まさか朝に食べてもらうと思っていなかったため、チョコレートたっぷりのケーキにしてしまったことを後悔した。
『昨夜からなにも食べてなかったから、そんなことなかったよ。むしろ、もう一個くらいは余裕だったな』
慧らしくない言い方だった。冗談か本気かわからないが、リップサービスにしては声音が優しい気がする。
「じゃあ、また今度作ります」
『……ああ』
一拍置いた返答も、やっぱり穏やかに聞こえた。たった二文字なのに、なぜかそんな風に思ったのだ。
「あの、今夜は帰れますか? もしよかったら、ご飯を置いておきます」
『ごめん。昨日のトラブルで、今夜も帰れそうにない』
思い切って尋ねてみたが、彼の返事に肩を落としてしまう。頭ではそれほど忙しいのだとわかるのに、心は寂しさに覆われていった。