政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
「それは楽しみだな。すみれの料理はうまいから、今日も楽しみにしてたんだ」


いったい、どうしたのだろうか。
彼は、こんなリップサービスをする人ではなったはずだ。必要なことは話すが、今夜のように他愛ない話で会話が弾んだこともほとんどなかったというのに……。


けれど、すみれは嬉しくなって、つい口を開いてしまう。


「あと、レモンクリームパスタとか、幽庵焼きとかはどうですか?」
「レモンクリームパスタは食べたことがない気がするな。会食だと和食も多いから、幽庵焼きはたまに食べるが」
「今度作りますね。あっ、柚子を入れたみぞれ煮とかレモンジャムはどうですか? どれも美弥のお墨付きですし、私も好きなんです」


饒舌になっていると、慧がふっと小さく噴き出した。


「す、すみません……。うるさかったですよね……」
「そうじゃない。すみれと久住さんは本当に仲がいいんだな、と思ったんだ。彼女よりも多くすみれの料理を食べるには、何年もかかりそうだ」


彼の表情が優しくて、調子が狂いそうになる。これまでに見てきたクールな雰囲気はどこにもなく、柔和な笑顔を向けられていることに戸惑った。


「どうでしょう……。美弥とは学生時代にお弁当のおかずもよく交換してたので、そういうのも入れると年単位になるかもしれないですね」
「お弁当、自分で作っていたのか?」


不思議そうな顔をした慧に、「はい」と答える。

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