政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
それから半月、慧が家で過ごす時間が増えた。


朝はいつも通りの時間に出ていくが、夜の帰宅は早い。週末も仕事で出掛けるのに、遅くても二十時頃に帰ってくる。


日曜日の今日なんて、十八時には家にいたくらいだ。午前中の予定が早く終わり、そのまま午後のスケジュールも前倒しできたのだとか。


そのため、彼はすみれをディナーに連れ出すつもりだったようだ。しかし、下拵えを済ませていた肉と野菜が入った冷蔵庫を見て延期になった。


十九時頃には夕食を一緒に囲み、片付けも済ませる。二十時過ぎに慧がシャワールームに行ったのを見て、すみれもお風呂に入った。


今日はあまり湯船に浸からず、早々にバスルームから出る。スキンケアのあとでボディクリームを塗っているとき、ふと彼のことが頭に浮かんだ。


(なにもしない……よね?)


慧に抱かれたのは、まだ一度だけ。あれをきっかけに寝室を共にするようなことも、二度目の機会も、まだない。
子どもを作るのなら頻繁に……なんて想像していたこともあるが、杞憂に終わった。


ただ、それは慧が多忙だったから、という可能性もある。最近の帰宅は早く、特に今夜はまだ二十一時にもなっていないこともあって、色々な想像が駆け巡った。


身体はピカピカに磨いたし、下着もルームウェアも抜かりはない。外側はきっと問題ないだろう。


けれど、心は緊張感に包まれ、急にドキドキしてきた。心臓が早鐘を打ち、鏡に映る顔が赤く染まっていく。
ルームウェアを着ても心が落ち着かない中、脱衣所のドアがノックされた。


「すみれ? 少しいいか?」


声をかけられ、慌てて前髪を整えようとする。


「あっ、えっと……はい!」


しかし、濡れたままの髪は上手く綺麗にならない。慧を待たせるわけにもいかないと思い、バタバタしたまま返事をしてしまった。
ドアが開き、彼が中に入ってくる。

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