政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました

三 思いもよらない告白

満開の桜が散り、四月は瞬く間に過ぎていった。
五月も中旬に入った今、すでに初夏を感じるほど暑い日もある。


そんな中、すみれは同僚たちと少しずつ打ち解けていった。今では八田たちとよく話し、定期的にランチにも行っている。


(この一か月半くらいで、会社での過ごし方がすごく変わったな)


三月、六条商事は無事に修正申告を終え、税務調査も乗り切った。その際、数名で飲み会が開催れ、すみれも誘われて参加したのだ。


それを機に、他の社員とも話す機会が増え、今はもう以前とは違う。何人かとは連絡先も交換し、たまに仕事終わりに飲みに行くこともあるくらいだ。


慧とも、少しずつ距離が近づいている。彼から話しかけられることも、会話も、結婚当初からは比べられないほど増えた。


四月は慧がまた忙しくなり、一緒に夕食を摂る日は減ったけれど……。夜は彼のベッドで眠り、朝は一緒に起きている。
朝食を摂らなかった慧だったが、近頃はすみれと食べるようになった。


『慧さんは忙しいですし、コーヒーだけってよくないと思います。軽いものでもいいので、朝も少しは食べませんか? 慧さんのリクエスト通りに準備しますから』


そんな風に提案したのは、四月に入った頃だった。


以前のすみれなら、こんなことは言えなかったに違いない。しかし、今は不思議と拒絶されない気がして、あまり悩まずに提案できたのだ。


『手の込んだものはいらないから』


先手を打った言葉には、彼の気遣いが覗いていた。すみれは少しだけ気合いを入れつつ、それでいて『私も無理はしません』と約束した。

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