政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました

二 月に隠れたひととき

今から三年八か月ほど前のこと――。


当時大学三年生だったすみれは、鬱屈とした日々を送っていた。
厳しく頑固な父のもと、ずっと言われた通りに生きてきたという自覚がある。


幼い頃から多くの習い事をさせられ、遊ぶ時間はほとんどなかった。『花嫁修業だ』と言われたが、時代錯誤にも程がある。


確かに、好きだったことや身になったこともあった。しかし、家の都合でやめた習い事もあり、常に六条の事情に振り回されてきたのも事実。


大学生になっても門限があった。バイトをしたり飲み会に行ったりするどころか、友人と遊びに行くのも父の許可がいる。もちろん、バイトや飲み会は許されなかった。


それでも、すみれは父の期待に応えるべく生きてきたつもりだ。


しかし、父の期待に応えようとするたび、父の顔色を窺う癖がついて……。いつしか人と関わることも笑うことも苦手になっていた。


きっと、様々な状況が大きなストレスになっていたのだろう。六条の都合でパーティーや食事会に出席するときには、頻繁に体調を崩すようになった。


そんなとき、父にはすみれを心配する素振りなどない。それどころか、『自己管理がなってない』と叱責されたものだ。


毎日、息が詰まった。どこにいても監視されているようで、常に息苦しかった。


まるで人形のような生活……。
自分自身の人生をそんな風に思い始めた頃、慧と出会った。

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