政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
穏やかな日々の中で迎えた、七月下旬の土曜日。
今日は珍しく慧が休みで、デートに繰り出していた。


といっても、前半は彼が仕事関係で招待されたパーティーへ。日中の開催だったため、ランチはそこで軽く済ませた。


パーティー会場を後にしたのは、十五時頃。そのまま買い物に行き、ディナーは少し早い時間に高級フレンチを楽しんだ。


帰宅後には、慧の押しに負けて一緒にお風呂に入り、ベッドに連れ込まれて……。今は情事の気怠さを抱えながら、彼の腕の中にいる。
今夜は優しくじっくりと愛されたせいか、すみれの思考はふわふわとしていた。


「今日は付き合ってくれてありがとう。パーティーなんて腹の探り合いばかりだし、つまらなかっただろ」


すみれが首を小さく横に振る。
今回のパーティーは、夫婦で招待された。すみれは慧の傍で笑顔でいただけだが、彼の役に立てたのなら嬉しい。


「せっかくの休みも仕事みたいだったな。ゆっくりデートもできなくてごめん」
「謝らないでください。パーティーはちょっと緊張しましたけど、買い物もディナーも楽しかったですよ。それに、私は慧さんと一緒にいられるだけで嬉しいですから」


慧が瞳を緩め、すみれの額に口づける。直後に視線がぶつかり、どちらともなくキスを交わした。


顔を離すと、彼はまだ優しい表情をしている。それが嬉しくてすみれも微笑めば、ぎゅうっと抱きしめられた。


「すみれは、もっと自由に生きてもいいと思う」
「えっ?」


唐突に紡がれた言葉に、すみれは小首を傾げてしまう。その意図がわからないまま顔を上げると、慧の顔が近距離にあった。


「なににも縛られず、家のことも気にせずに、やりたいことをしてもいいんだ」


そんなことを考えたこともなかったすみれは、目を丸くしてしまった。

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