政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
『随分とバカにされたものですね。東海林製菓ごときが御門に喧嘩を売るなんて、よほど痛い目に遭いたいんでしょうか』


誠二の声音からは、苛立ちが鮮明に伝わってくる。


「悪いが、すぐに調べさせてくれ。明日の朝一で警察とも話がしたい」
『もう調べるように連絡を入れました。警察の方もすぐに対応します』


慧の右腕だけあって、誠二も優秀なのだろう。電話の傍らで、すでにメールで指示を出していたようだ。


「じゃあ、そっちは任せていいか」
『ええ、構いませんが……珍しいですね』
「今はすみれの傍にいたい。動きがあればすぐに連絡してくれ」


慧の言葉に、すみれは驚いてしまう。会社に行かなくていいのかと戸惑ったが、彼の横顔からは確固たる意志が見えた。


『承知しました』


少しの間を置いて、誠二が静かに答える。そこにはわずかな不満が覗いていた気がするが、すみれは黙って見守ることしかできなかった。


「悪い。頼んだ」


慧が通話を終え、大きく嘆息する。数秒後、彼がすみれの方に顔を向けた。


「あっちのことは心配しなくてもいい。誠二が上手くやってくれるし、なにかあればすぐに連絡が来るから」


すみれの不安を見透かすように先手を打たれ、申し訳なくなる。けれど、慧が傍にいてくれることが嬉しいのも本心だった。


「東海林とはいつ会うつもりだった?」
「明日の夜です。ちょうど二週間になるので、連絡が……」


スマホにメッセージを表示し、「全部見てもらって構いません」と告げて見せる。スマホを受け取った彼が、ここ最近のメッセージを確認した。

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