政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
「これだけか……。浅はかな脅し方に思えたが、証拠は残していないんだな」
「私がちゃんと返信して、なにか証拠になるようなことを残せればよかったですね……」


すみれは、真輔からのメッセージに一度も返信していない。彼からも返信を求められることはなかった。


「いや、すみれへの脅し方は短絡的に見えるが、こちらから辿りつけなかったことも含めてそこまでバカじゃないだろ。すみれがなにを訊いても、文面や録音に残さないようにしたはずだ。だから、すみれが気に病む必要はない」


すみれを責めない慧に、余計に罪悪感が大きくなる。どうしてもっと早くに相談できなかったのか……と、どうしても思わずにはいられない。


「それに、落ち度があるとしたら俺の方だ」


自分を責めていると、彼が悔しげに眉をひそめた。


「そんな……。慧さんには落ち度なんて……」


すみれは否定したが、慧が首を小さく横に振った。


「見合いの席で東海林と会ったとき、あいつはすみれが好きだと言ってた。すみれに告白したことも聞いてたし、本気だと思ってたんだ」
「私も最初はそう思ってました。でも、今は違うと……。たぶん、告白も私を懐柔するためか、もし告白が上手くいけば六条を手に入れようとしたんじゃないかと……」
「ああ、すみれの話を聞く限りそうだろうな。六条家と東海林は家族ぐるみの付き合いで、母親同士が仲がいいと聞いていたし、すみれを脅すとは思いもしなかったよ」
「でも、こんなことをしても意味なんてないと思うんです。六条は御門の傘下に入ってどうにか持ち応えただけで、業績がまだ上がってません。もし東海林がこの状態で六条を手に入れても、メリットがあるようには……」


すみれは、ずっと疑問に思っていたことを口にした。

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