政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
「その辺りは調べてみないとわからないが、東海林製菓は近年業績がよくなかったはずだ。経営が危ないのかもしれないな」
「そうなんですか?」
「ああ。あの規模と経歴の会社ならコネも少ないだろうし、六条の名前だけじゃなく六条が持ってるパイプが欲しいんだろうな」


東海林製菓の業績がよくないなんて、知らなかった。父からもそんな話は聞いたことがないし、真輔の母と懇意にしている母にもそんな様子はなかった。


「それに、傘下に入ったばかりの六条を狙えば、御門の信用を傷つけられる。御門と真っ向からやり合う気はないが、御門にも不利益が及べばラッキー……といったところか。いずれにしても、その程度でどうにかなる業績じゃないはずだが」


滔々と話す慧を見て、ふと疑問が浮かぶ。


東海林製菓は、小さな会社だ。大企業だったり御門に大きく関係したりするのならともかく、彼が東海林の業績や経歴まで知っている様子なのが引っかかった。


「でも、どうして慧さんが東海林製菓のことなんて……」


素直に尋ねると、慧が気まずそうに苦笑した。


「すみれとの見合いのとき、俺はもともと決まっていた東海林との席に便乗するような形だった。だから、東海林や会社のことを調べたんだ」
「どうしてそんなこと……」
「決まってるだろ。すみれと結婚するためだよ」
「えっ……?」


きっぱりと言い切られて、きょとんとしてしまう。


「お義父さんからは東海林とは家族ぐるみの付き合いだと聞いていたし、その時点ですみれにとっては俺より東海林の方が近い人間だった。だから、少しでも俺が有利になるように東海林がどんな奴か知っておいた方がいいと思ったんだ」


彼が、すみれとのお見合いの前から好きでいてくれたのはもう知っている。ただ、まさかそこまで周到だとは思ってもみなかった。

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