政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
「前にも話したが、俺はすみれを手に入れるためにお義父さんに近づいたんだ。これくらいのことは調べるよ」


バツが悪そうだった慧は、それでいて開き直ったように不敵な笑みを浮かべる。知らなかった事実が、すみれの胸の奥を甘く締めつけた。
だからこそ、慧を頼れなかったことへの後悔が大きくなる。


「私……すぐに慧さんを頼るべきだったんですね……」


眉を下げたすみれを、彼がそっと抱きしめる。


「結果論だよ。すみれはなにも悪くないから、自分を責めなくていい」
「慧さん……」
「俺も気づけなくてごめん。ずっとつらかったよな……」


優しい声音に、また涙が込み上げてくる。すみれは咄嗟にかぶりを振ったが、視界はすぐに滲んでしまった。


「だが、もう心配しなくていい。すみれも六条商事も俺が守るから」


慧が腕に力を込め、すみれを強く抱きすくめる。すみれは、彼の腕と香りに包まれてようやく安堵感を抱いた。


少しして、慧がすみれの身体を離す。彼はすみれの目尻に浮かぶ涙を親指に拭うと、瞳をゆるりと緩めた。


「俺は、すみれが悩んでることに気づけなかったのは申し訳ないと思ってる」


含みのある物言いだと思った。直後、慧の目の奥が怪しく光る。


「だが、俺を信じてくれなかったことは許さない」
「ちがっ……! 私は、慧さんを信じてなかったわけじゃないんです! ただ、私が犠牲になることでみんなを守れるのなら……って」
「つまり、すみれは俺よりあいつの力を信じたんだろ? 夫よりも他の男を……」


彼の表情も声も、不満でいっぱいだった。

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