政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
「すみれ。改めて伝えさせてほしい」
「はい……」


慧の醸し出す雰囲気を察したのか、彼女が真剣な表情になる。


「最初は誤解させて、たくさん傷つけたと思う。不安な結婚生活を送らせたことも、本当にごめん……」


すみれは首を小さく横に振る。その目には、微かな雫が浮かんでいた。


「過去は変えられないが、その分この先はずっとすみれを大事にする。大変な思いをさせることもあるだろうけど、どんなときも必ず守り抜くって約束する」


鼓動がうるさいくらいに鳴り、全身に緊張が広がっていく。彼女の気持ちは知っているのに、心は落ち着かなかった。


「だから、一生俺の傍にいてほしい」


けれど、あの頃に言えなかった想いをようやく紡げた。随分と遅くなったが、慧はようやく愛を込めたプロポーズができたのだ。


すみれが一筋の涙を零し、迷いはないと言うように大きく頷く。


「はい。私でよければ喜んで……」


慧が花束を差し出すと、彼女はそれを受け取って花のように破顔した。


「ずっとずっと、慧さんの傍にいさせてください」


すみれが泣きながら笑う。その表情からは、感動と喜びが伝わってきた。


慧はつられるように微笑み、ポケットから小さな箱を出す。それを開け、ダイヤモンドが輝く指輪を手に取った。


ブリリアントカットのダイヤモンドは、一カラットを超える。そこに寄り添うように、両サイドにペアシェイプダイヤモンドがあしらわれている。


さらに、裏側には特注でアメジストを埋め込んだ。すみれの、そして慧の誕生石でもあるからだ。


慧は、自分の誕生石など調べたこともなかったのに……。誕生日が違うふたりの誕生石が同じだと知り、ガラにもなく運命を信じてしまった。

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