政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
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五月下旬の昼下がり。
「へぇ、そんなことがあったんだ」
久住美弥が、ブラックティーを一口飲んで微笑んだ。
幼なじみの彼女は、キリッとした猫目の二重瞼が印象的な華やかな美人である。有名な大手美容外科――『久住美容外科』の長女で、れっきとしたお嬢様だ。
しかし、すみれと違いふたりの兄がいて、病院を継ぐ必要はない。結婚はまだ先だとしても、未来を意識した恋人もいる。
性格は、いい意味でお嬢様っぽくなく、ざっくばらん。すみれにとっては、良き相談相手でもあった。
そんな美弥とは、幼稚舎から大学までの同級生でもある。つまり、幼い頃から大学までの長期休暇以外の平日はほぼ顔を合わせていた。
そして、今でも休日に月に二回ほど会うほどの仲だ。
今日は彼女の誕生日祝いで、ホテルのラウンジでアフタヌーンティーを楽しんでいる。
紫陽花をイメージした鮮やかな紫や青のスイーツは、華やかで美しい。セイボリーも充実しており、人気ブランドの紅茶とともに満喫していた。
「それは、すみれじゃなくても恋に堕ちるでしょ」
「わ、私は別に……」
咄嗟に否定したが、美弥が眉を下げて笑う。
「別におじさんに話したりしないから、隠さなくていいよ。だから、ごまかさないの。私とすみれの仲でしょ?」
彼女には、ただ先日のパーティーでの出来事を話しただけ。それに対して、すみれがどんな感情を抱いたのか……などは一言も触れていない。
にもかかわらず、すみれの恋心を見透かされてしまった。
「すみれは、結構人見知りだし、外では表情が硬いとか言われてるけど、私にとってはわかりやすいんだから隠すだけ無駄だよ」
「うっ……」
「だから、白状しなさい」
真っ直ぐな目が弧を描き、すみれの回答を求めてくる。