政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
「そろそろ本題に入ろうか」


食事が中盤に差しかかった頃、おもむろに父が切り出した。


この状況から予想ができていないわけではない。けれど、まだ信じられない気持ちが大きく、なにかの間違いであることも考えていた。


「真輔くんと御門さんは、すみれの婚約者候補としてここに来てくれた」


父の声が、静かな部屋に落ちていく。


真輔はともかく、慧も……とはいったいどういうことなのか。なにがどうなればこんな状況になるのか……。
すみれの中の疑問がより大きくなり、ますます困惑してしまった。


「もちろん、ふたりはすでに承諾済みだ。今回はふたり一緒にこうして会うことになったから、今後の選択肢はすみれに与える」
「えっ……?」
「もっとも、後々彼らに断られる可能性もある。すみれは、とにかく真輔くんと御門さん、それぞれとの時間を作りなさい」


混乱していくすみれに反し、三人は涼しい顔をしている。動揺するすみれがおかしいのかと思うほど、彼らの顔色は変わっていなかった。


その後、どんな話をしたのかはよく覚えていない。慧と真輔からときどき話を振られたが、きちんと答えられたのかすらわからない。


いつもは父の顔色を気にするのに、それも気にかける余裕はなくて……。夢ではないとわかっているのに、現実味もなかった。


そうして不可思議な食事会が終わり、個室には父とすみれだけが残った。

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