政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
慧がとても多忙な身であることは、すみれも知っていた。父から聞かされていたのもあるが、この頃の彼は仕事で頻繁に海外にも行っていたからだ。


月に一度は、どこかの国のお土産をもらう。たまにかかってくる電話や定期的に交わすメッセージでも、海外にいると言われることも珍しくなかった。


一緒にいるときに電話がかかってきて、英語やフランス語で対応することもあった。会う時間が少なくても、忙しい日々を送っているのは明白だ。


そんな慧が、どうしてすみれの婚約者候補になっているのか……。考えれば考えるほど、彼と会えば会うほど、疑問は深まるばかり。


どう考えても、御門が六条に取り入る理由などない。
立場で言えば、すみれは慧に気に入られなくてはいけない。しかし、その逆は必要ないからこそ、彼の方から断られる素振りもないことが不思議でたまらなかった。


ただ、慧の事情がどうであっても、すみれの事情は変わらない。


すみれは、彼が好き。
そして、この結婚に限っては父から大きな期待をかけられている。


このふたつの理由だけで、もう充分だ。だから、すみれは慧から嫌われないようにすることだけを心掛けていた。
そのせいで、墓穴を掘らないためにも上手く話を弾ませられないのだけれど……。

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