政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
月日は流れ、一月上旬。
すみれは誕生日を迎え、二十三歳になった。


当日は、慧がディナーに誘ってくれた。彼は海外出張を前倒ししてまで仕事を調整して、わざわざ誕生日当日に会ってくれたのだ。


どれほど嬉しかったか。
誕生日を好きな人と過ごせる。それも、相手から誘ってもらえた。


すみれが好きな鉄板焼きのフルコースに、同じホテル内にあるバーでのひととき。綺麗な花束と、ラグジュアリーブランドのブレスレットのプレゼント。
すべてが幸せで、天にも昇る気持ちだった。


一方で、ただ感激するだけではいられない。喜びが大きくなればなるほど、彼への疑問が深まっていく。


慧がすみれの婚約者候補であることに、腑に落ちなくなっていくばかりだった。


今のところ、彼が婚約者候補を下りるという話はない。けれど、まだ確実に結婚できると決まったわけでもない。


そもそも、本当に自分でいいのだろうか……。グルグルと考えているうちに、すみれの自宅マンションの前に着いてしまった。


御門家の運転手が、慧が座っている側のドアを開ける。その後は、いつも通り慧がすみれをエスコートしながら車から降ろした。


「それじゃあ、また連絡する。今夜も寒いから、身体を冷やさないように」


気遣う慧に頷いたが、すみれからは別れの言葉が出てこない。


(今日こそ訊かなきゃ……)


いつもなら、きっと口にできなかったに違いないけれど……。今夜は誕生日で、彼に祝ってもらえた。


特別な日と、冷めない高揚感。そして、色々な不安と疑念が積もり積もって、すみれはとうとう勇気を出して核心に触れた。

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