政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
「あの……ひとつだけ訊いてもいいですか?」
「いいよ」


迷いなく答えが返ってきて、ひとまず安堵する。


ディナーのときから、程よくお酒が入っている。バーでは一杯に留めたが、すみれにしてはよく飲んだ方だ。アルコールの力が、すみれの背中を押した。


「御門さんは、その……どうして私の婚約者候補に? 父が無理を言ったのかもしれませんが、そうだとしても御門さんにも御門家にも利益がないと思うんです。それなのに、このままだと……」


慧が婚約者候補になってから、半年。
今の段階では、彼から断わられそうな様子はない。様々な思惑や大人の事情があるにせよ、一般的には順調と言える関係性だろう。


つまり、慧にも御門家にも利益がない中で、話が進んでいることになる。
すみれの言いたいことを察したのか、彼が息を小さく吐いた。


「利益については、すみれさんが考える必要も心配することもない」


相変わらず、慧は表情の変化が乏しい。声音からは苛立ちや嫌悪感はないが、淡々と答える姿は面倒くさそうにも見えた。


「そんなわけには……。私自身には力はなくとも、お互いに利益がないとこの結婚の意味がないのはわかっています。でも、うちはもう……」
「会社の件は、御門と六条で話し合うことだ。そこにすみれさんは関係ない。六条商事のことは社長や会長に任せておけばいいだろう」


きっと、これ以上の詮索は許されない。

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