政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
「素敵な旦那様で羨ましいな~。しかも、すみれにとっては好きな人だもんね。すみれはいずれ政略結婚するつもりだったけど、結果的に好きな人と結婚できたなんて幸せじゃない」


確かに、美弥の言う通りだ。すみれの立場上、いずれ好きでもない相手と結婚するしかなかった。


ところが、一転。手が届かない人……それも、好きな人と結婚できたのだ。
しかも、相手は誰もが羨むような男性。これを幸せと言わずして、なんと言うのか。


頭ではきちんとわかっている。けれど、すみれは複雑な気持ちになる。


「……もしかして、上手くいってないの?」


眉を下げた彼女が、フォークを置く。すみれを真っ直ぐに見る目には、心配の色が浮かんでいた。


「不仲ってわけじゃないとは思うけど、上手くいってるとも言えないかな……」


ずっと誰かに聞いてほしかった。そんな気持ちが先立ち、ぽつりぽつりと今までのことを話していく。


「誕生日を祝ってくれたことも、一緒にご飯を食べられるようになったことも、本当に嬉しい。慧さんなりに時間を作ろうとしてくれてるのもわかってるの」
「うん」
「きっと、ないがしろにされてるわけじゃない。でも、夫婦らしいことはなにもないし、慧さんの本心もわからないんだ……」


美弥の相槌につられるように、本音がどんどん漏れていく。


「私に女性的な魅力が足りないのかな……。それとも、慧さんの好みからかけ離れてるとか、女性として見られないとか……。悩んでもわからないから、もしかしたら離婚した方がいいのかも……って思うときがあるの」


抱え切れなくなっていた不安まで零したとき、彼女が「すみれ」と口を挟んだ。

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