政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
ようやく唇が離れ、すみれは酸素を欲して無意識に息を大きく吸う。呼吸は肩でしていて、いつの間にか視界が滲んでいた。


羽織っていたカーディガンを肩から抜かれ、剥ぎ取られる。ルームウェアもすぽんと脱がされ、ショートパンツと下着だけが残った。


中途半端に脱がされるのは、全裸よりも恥ずかしいかもしれない。思わず胸元で両手を交差させて隠したが、彼がそれを許すはずもなかった。


左手で両手を取られ、じっと見つめられる。隠すな、と言われているようだった。


すみれは息を呑み、瞳を伏せる。視線だけでも慧から逃れたかったのに、彼の右手の指先がうなじを優しく撫でたせいで反射的に顔を上げてしまった。


「っ……」
「そのまま余計なことは考えるな」


囁きとともに、ブラのホックが外される。直後に両手が解放されたかと思うと、手際よくブラを剥がれた。


無防備な双丘を揉まれ、手のひらが敏感な場所に当たる。両方の胸を同時に揉みしだかれ、じんじんとした痺れが走り抜けた。


身体が小さく跳ね、程なくしてこれが快感だと理解した。
甘い刺激だと認識した途端、身体が疼き始める。すみれにとってはよくわからない感覚なのに、なにかが足りないのだと気づき始めた。


「慧さん……」


縋るように名前を呼べば、彼が息を細く吐いた。眉根を寄せた艶麗な表情に、すみれの鼓動が高鳴る。


慧はすみれの呼びかけに応えなかったが、代わりとばかりに額に口づけた。そのまま唇がこめかみに移り、頬や鼻先にもキスが贈られる。


(どうして……)


愛はない。それはもう嫌というほどにわかっている。


それなのに、彼の仕草ひとつで勘違いしそうになる。優しさを見せられたら、愚かにも期待してしまう。
愛されているんじゃないか……と。


同時に、すみれの中にある恋情が大きくなっていることも自覚させられた。

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