政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
「俺を見ていろ、と言ったはずだが」


すみれは、慌てて顔から両手を離す。直後に目が合った彼の表情からは、感情が読めない。


「それでいい。どんなに恥ずかしくても、ずっと俺を見ているんだ」


けれど、次に落とされた声色はどこか優しく感じた。その真意を知る術もなく、再び慧の手が動き始める。


「ひゃっ……?」


直後、今までで一番大きな痺れがそこから頭のてっぺんまで駆け抜けた。未経験のすみれには、あまりにも強い刺激だった。
けれど、責められ続けていると、足りなかったものが少しずつ満ちていく。


滲んだ視界の中にいる慧が、どんな顔をしているのか見えないのに……。

「すみれ」

名前を呼ばれる声が優しくて、すみれの恐怖心が和らいでいく。さらには右頬をそっと撫でられ、安心感が大きくなる。


刹那、脆弱な場所を激しく捏ねられ、視界に星が舞う。自然と喉を仰け反らせたすみれは、啼きながら全身を大きく震わせた。


なにが起こったのか理解できないまま、目尻から涙が零れる。指先まで痺れる中で、乱れた呼吸音がやけに鮮明に聞こえていた。


「すみれ」


放心していたすみれは、愛おしそうに名前を紡がれて鼓動が高鳴った。
勘違いだとわかっているのに、右頬を撫でる手から労わりを感じる。ともすれば、彼に愛されていると思うほどに温かく優しかった。


「慧さん……」
「うん?」
「なんか、変で……。身体が……」


縋ってもいいのだと言われているようで、すみれはつい甘えてしまう。子どものように拙く訴えると、慧が眉を下げて微笑んだ。


「そうなるようにしたんだから、なにもおかしくなんかない」


自分の身体がどうなったのか。それを理解した途端、すみれの顔がボッと熱くなった。


恥ずかしくてたまらないすみれに反して、彼の面持ちはどこか満足そうに見える。すみれを見つめる目が、初めて話した夜のように優しかった。

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