政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
『たまたま六条社長と親しくなりまして、今回の機会をいただきました。おふたりは幼なじみのような関係性だと伺っていますから、分が悪いのは私の方でしょう』
『ご冗談を。六条社長は、すみれさんの気持ちよりも会社の利益を優先する方です。幼なじみなんて一銭にもならない関係性は、あの人にとって意味はありません。ですが、僕は諦める気はありませんよ』


温厚そうだと思っていたが、随分と好戦的だ。それだけ、すみれへの想いが強いのだろうか。だとしても、慧も引くつもりはない。


『私も、すみれさんに選んでいただけるように努めるつもりです』


真っ直ぐに見て言い返した慧に、真輔が目を見開く。


『いや……でも……御門さんには六条との結婚にメリットはないでしょう? すみれちゃんとも親しいわけではなさそうでしたし、少なくとも彼女じゃなくてもいいのではないですか? あなたなら他にもいるでしょう!』


彼にとって、慧の答えは予想外だったようだ。動揺を隠せない様子を前に、少しだけ気の毒に思う。もっとも、同情する気はなかった。


『あなたにはあなたの思いがあるように、俺にも俺の考えがあります。では、このあとも仕事ですので、私はこれで失礼します』


繕った笑顔で会釈をし、煙に巻いて外に出る。真輔はその場から動けないようだったが、慧は気にも留めずに駐車場に止めていた車に乗り込んだ。


(冗談じゃない。俺はすみれさんがいいんだよ)


心の中で彼の問いに答え、すみれに選ばれるためにどんな手でも使おうと考えた。

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