愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 途中途中ハンカチを目に当てたり、涙声になっていたりで詳しくは聞こえなかったものの、家名だけはハッキリと聞こえた。

 それでも……今から向かう家がカリバーン家だなんて信じられなかった。

 カリバーン家といえば、公爵の位を国王様から賜っている上級貴族である。

 当主様は国王様の右腕として宰相の職に就いており、ご長男のラウス様はいずれその役職を継ぐべく今はサポートをしている。いわゆるエリート中のエリートだ。

 そこに仕える使用人達も皆、教養深く、武芸に長けているのだと耳に挟んだ事がある。

 そんな家がなぜわざわざ借金の形に下級貴族の娘なんかを要求するのだろうか。

 そもそも縁もゆかりもない上級貴族様がなぜサンドレア家に多額の金を貸してくれたのだろうか? 

 詳しい経緯は分からない。
 けれどカリバーン家を通してどこかに売られるなり何なりするのだろう、と予測をつけていた。けれどどうやらそうではないらしい。

 私の滞在先はどうやらカリバーン家で間違いはないらしいのだ。


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