愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 これがせめて四十過ぎのぶくぶくに太ったどこぞのおじさんで、借金のカタでもなければ妻を娶れないような男であれば理由は簡単に想像できるというのに……。


 カリバーン家の方々には一度もお目にかかったことがないため真偽の程は分からないが、何でも美男美女揃いらしいと専らの噂である。

 ただでさえ優良物件なのに、顔までいい! とイケメンには目がない友人達がはしゃいでいた。

 その上、普段は泥に汚れながら畑仕事をしている地味娘に手を差し伸べるほどの優しさまで持ち合わせている。

 いわばパーフェクトな男性なのだ。

 だからこそ自分は何のために連れてこられたのか全く見当もつかない。

 そもそもこの採寸だって、半ば強制的に採寸室に入れられ、そのあと数人の女性に囲まれたから仕方なく受け入れているだけで、何のためにされているのかもわからない。

 自慢ではないが、私の日課は領民と一緒に農作業することだった。

 日が昇りきる前に起きて、朝食をとり、そしてその日の作業に取り掛かる。広大な土地を誇るサンドレア領の畑だが分担すればさほど時間はかからない。

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