愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
すると斜め下に固定した視線には何やら人の足らしきものが写り込んだ。
開けたのは紛れもなく自室のドアであり、使用人が出ていってからさほど時間は経っていないものの、忘れ物か何かがあればドアの前で待ち続けるということもないだろう。
それに何より私の視線に写り込んだのはカリバーン家の女性の使用人が着ている黒と白のかっちりとしたワンピースの制服ではない。
どこからどう見ても男性の、それもピッタリと足にフィットした仕立てのいい真っ黒のパンツなのだ。
おずおずと視線を上へと動かして行くと、そこにあったのはラウス様の顔だった。
「ラウス、様?」
「着替え終わったか? それでは行こうか」
なぜラウス様が部屋の前で私の着替えを待っていたのかを理解できずにいると、すっかり頭が覚醒したラウス様は手を差し出す。
先ほどまでぼんやりとしていた人とは思えない。
朝は弱いのかと思ったが、スイッチが入るまで少し時間がかかるだけのようだ。
少し時間が経てばいつも通り。遠駆の話は彼の中ではすでに終わった話のようだった。
「はい」
開けたのは紛れもなく自室のドアであり、使用人が出ていってからさほど時間は経っていないものの、忘れ物か何かがあればドアの前で待ち続けるということもないだろう。
それに何より私の視線に写り込んだのはカリバーン家の女性の使用人が着ている黒と白のかっちりとしたワンピースの制服ではない。
どこからどう見ても男性の、それもピッタリと足にフィットした仕立てのいい真っ黒のパンツなのだ。
おずおずと視線を上へと動かして行くと、そこにあったのはラウス様の顔だった。
「ラウス、様?」
「着替え終わったか? それでは行こうか」
なぜラウス様が部屋の前で私の着替えを待っていたのかを理解できずにいると、すっかり頭が覚醒したラウス様は手を差し出す。
先ほどまでぼんやりとしていた人とは思えない。
朝は弱いのかと思ったが、スイッチが入るまで少し時間がかかるだけのようだ。
少し時間が経てばいつも通り。遠駆の話は彼の中ではすでに終わった話のようだった。
「はい」