愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 だからなのか進む一歩は私のものより少しだけ狭い。それでも先を急ごうと必死で動かす姿は微笑ましい。

 引かれていく一方だった私はその身をアンジェリカ様の隣へと移動させる。
 するとアンジェリカ様は嬉しそうに隣を見上げながらお茶会のメニューについての説明を始めた。

「お茶は紅茶で有名なランドールのものを用意させました。ケーキは昨日とは違うものと、お義姉様が美味しそうに食べてらっしゃったというものを用意しましたわ!」
「それは楽しみです」

 庭へと向かう道のりさえ煩わしいと感じるのか次第に歩くスピードは上がっていく。繋いだ手は焦る気持ちを表しているのかユラユラと大きく揺れる。

 隣を見上げながら階段を下りていて、落ちてしまわないかとソワソワしてしまうものの、それほどまでに私とのお茶会を楽しみにしてくれているのかと思うと顔が緩んでしまう。

「私のオススメは「アンジェリカと義姉さん?」

 アンジェリカ様の楽しそうな声が廊下に響いていたらしく、サキヌ様がその声につられたように私たちが今しがた降りてきたばかりの階段を遅れて降りて来た。

「お兄様どうしたんですか?」

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