愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 アンジェリカ様の主張を聞く気がないようで、冷たい声で一蹴した。
 自分が否定されたわけでもないのに、その声に、言葉に背筋を汗が一筋這い落ちる。

 それよりも『何をしていたのか』、そのことを聞くまでは他のことに耳を傾けるつもりはないようだ。

「アンジェリカが義姉さんと昼食もお茶会も、夕食までも一緒にするつもりらしいんだ」

 だがその声を向けられた当の二人はといえば慣れているようで、特に気にした様子もない。

 すると自分の欲しかった答えをもらったお義母様はその冷たい雰囲気など取り払って、まるで駄々をこねる子どものようにサキヌ様の肩を掴んで揺さぶった。

「そんなの私聞いてないのだけど!」
「俺も今聞いたんだよ!」

 前と後ろを強い力で往復させられていたサキヌ様はその力と同じように力強い声でそう答えた。

 するとパッとサキヌ様の肩から手を離したお義母様は、今度はアンジェリカ様に詰め寄った。

「サキヌはともかくなんで私に言ってくれないの!」

 いきなり顔を寄せられたアンジェリカ様は機嫌悪そうに頬をぷくっと膨らませる。

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