愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 それにはもう頷く以外の選択肢は残されていなかった。
「ほらモリアちゃんもこう言っているじゃない! ということで私もお茶会に……」

 私の言質をとったお義母様はアンジェリカ様の気が変わらないうちに、意気揚々と私とアンジェリカ様の背中を押す。

「お母様、何を強引に話を進めてるんですか!」

 それをサキヌ様はお義母様の腕を強く握りこむようにして制す。

 お義母様のドレスは私やアンジェリカ様と同じく手首まで隠れるほどの長い袖で、掴まれた腕など直接見えないが指の間に刻まれたシワはその力の強さを表していた。

 あれでは結構な痛みが走るはずだろう。
 けれどお義母様は顔色一つ変えることなく私に笑顔を向ける。

「強引じゃないわよね?」
「……ええ」

 強引では、ある。強引ではあるが悪い気はしない。
 というよりも私の意思とは関係なく腕にはお義母様の腕が絡め取られ、それを解くことなど私には出来そうもない。

「義姉さんがいいなら俺は別に……ただ無理してるんじゃないかって……」

 ゆっくりとお義母様の腕から手を外すと、アンジェリカ様とお義母様に恨めしそうな視線を向ける。

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