愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
「そんな私は無理をさせる気なんて……。お義姉様も私とのお茶会、楽しみにしてくださってますよね?」

 その問いに声が出るよりも先に首がこくんと上下した。可愛らしいアンジェリカ様にウルウルと上目遣いをされ、頷かないなど私には無理だった。

「さぁモリアちゃん、アンジェリカ、お茶会を楽しみましょう? あ、サキヌは別に来なくてもいいのよ?」
「うっ……」
「だってお茶したくないのでしょう?」
「…………義姉さん、俺もいい?」

 追い打ちまでかけられ、しょぼんと落ち込んでしまったサキヌ様の頭に犬の耳のようなものが見えるのだから、私はつくづくこの家族には弱いのだろう。

「ええ」

 もしも私の背が後20cmほど高かったら、嬉しそうにお茶会ご一行の仲間に加わったサキヌ様の頭を間違いなく撫でていただろう。

「お兄様がいないこの時間こそお義姉様と親睦を深める絶好のチャンスですわ!」
「ラウスったら独り占めするんだもの。独り占めはよくないわよね?」
「義姉さんが結婚するのはお兄様なんだから仕方ないっちゃ仕方ないけどな……」
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