愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
「サキヌったらまたそんなこと言って! 私の時はお説教ばっかりなのに、全く誰に似たのかしら……」
「俺だって義姉さんともっと長くいたいけど、だからって義姉さんとお兄様の気持ちを無視はできないだろ……」

 右は手を揺らし、左は離すまいとガッチリと絡められた腕。そして後ろは立ち止まればすぐに衝突しそうな距離。

 彼らは私を包囲しながら口々に文句を垂れ流す。

 ……主に身内であるラウス様に。

 一体いつ、私がここまで彼らに好かれるだけの何かをしたのだろうか。
 もしくは私に似た誰かが友好を深めていたのかもしれない。

 そう思うと純粋に楽しく交流を深めてくれている彼らには申し訳ない気持ちになる。

「ねぇ、モリアちゃん」
「は、はい、何でしょう、お義母様!」

 考え事をしていたせいで驚くように返事すると、ピタリとお義母様は足を止めた。その身体は徐々に震えを増していく。

「お義母様?」

 話をちゃんと聞いていなかったのがバレてしまったのか。怒られるかもしれないと止まった足に視線を注いだ。

 けれどお義母様の反応は私の予想していたものと大きく違った。

< 127 / 341 >

この作品をシェア

pagetop