愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 次に右隣に座るアンジェリカへと視線を逸らすと、彼女はサキヌよりも大袈裟なジェスチャーで身体の前で両手を振った。

「お義姉様の食べ物をとるなんてとんでもない!」

 残すところはただ一人なのだが……先の二人の反応を見ていれば予想はつくというものだ。それでも一筋の光を捨てずに、半ばやけになって尋ねてみる。

「…………お義母様は?」
「モリアちゃん、遠慮しないでたっくさん食べていいのよ」

 やはりそこはさすがのお義母様、予想は裏切らない。期待はあっけなく裏切られたが……。

「…………ご飯はみんなで食べた方が美味しいですよ」

 私の世話ばかり焼いていないで彼らにも楽しんでほしいと思うのは、居心地が悪くなったからも少しはあるもののそれだけではない。

 今のペースでいくとスタンドに乗っているもの全てを私が食さなければいけなくなるような気がしたからである。

 事実、スタンドの半分ほどはすでに私のお腹の中である。

「モリアちゃん……」
「お義姉様……」
「義姉さん……」
「そうね! じゃあ、いただきましょうか」
「私はこれを」
「俺はこれにしようかな」

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