愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 その場に割れ物とか高級品とかなければ、の話になるが。

「何かしら、モリアちゃん。何でも聞いてちょうだい?」
「皆さんは普段どんなことをしてらっしゃるのですか? 実はその、時間を持て余してしまいまして……」
「あらそれなら毎日私とお茶会を……と言いたいところだけど、私も屋敷を出ちゃっている時もあるからそれは無理よね……」
「私は手習いのピアノを教えていただいたり、家に招いた先生にお勉強を教えていただいたりして過ごしています! 後は、渋々他の貴族の方々に招かれたお茶会に参加したり……ですかね」

 後半にチラリと上級貴族ならではの闇がみえたものの、前半はピアノにお勉強と普通の貴族とあまり変わらないらしい。

 私はピアノに触ったことすらなかったが、社交界で手習いとしてわざわざピアノ講師を呼んで習っているという令嬢もいた。

 そういう令嬢は大抵頭の出来も良くて、上級貴族に気に入られて、人によっては是非とも妻にと乞われることもあった。

 そう考えると私ってなんでここにいるんだろう? と不思議に思えてくる。

 まぁそれは単純に人違いだからなのだが……。

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