愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 疑うように少しだけしつこく問いかけてきたラウス様はたった二文字の言葉で表情が緩む。今ならアンジェリカほどとは言わないでも頬はモチモチだろう。さすがに突きはしないが柔らかそうだと思うくらいはいいだろう。

「お兄様、お義姉様!」
「アンジェリカ、こういう時は先に行くものなんだから」

 先に歩いていたアンジェリカは一向に追ってこない私たちを心配してこちら側に走ってきたが、やがてその背後からやってきたサキヌによって連行されるような形で手を引かれたままダイニングルームへと入っていった。

「行こうか」
「はい、ラウス様」

 出された手に手を重ね、遅ればせながら私たちも三人の待つダイニングルームへと向かうのだった。



 突然だが私は今、非常に戸惑っている。

 この状況を打破する方法を絶賛募集中だ。まぁ、募集したところで誰からの応募もないだろうから早々に打ち切ることにするが、それにしても困った……。

 あれからダイニングルームへと入った私たちの前に食事が並べられるまでそう時間はかからなかった。

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