愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 朝食のように机全体にいろんなご飯が並べられているわけではなく、初めに用意されたのはサラダだけだった。これから順番に料理が運ばれてくるのだろう。

 貴族の食事なんて大抵はそんな感じで、朝食とサンドレア家での食事がイレギュラーだけだったのだと言うことは重々承知している。

 食事が進み、メイン料理のステーキへと差し掛かった時、違和感を覚えた。

 私以外の五人が手を止めてこちらを凝視しているのだ。

「な、何か間違ってましたか?」

 下級貴族の間でも食事会のようなものは何度かあり、そのために一通り食事のマナーを学んだつもりだった。

 サンドレア家ではどちらかといえば野菜中心の食生活ではあったため、ステーキが食卓に並ぶことなんてまずなかった。だが食事会では実践を何度も経験していた。

 というのも王都を挟んで向こう側から海の魚を仕入れるのはさすがに私たちのような下級貴族では無理だ。コストがかかりすぎる。

 だからといって川魚なんてお客様に出すものではない。
< 147 / 341 >

この作品をシェア

pagetop