愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 そうなればメインは決まってお肉になるのだ。そんなこともあり、緊張して妙に力が入ることはあれど、何度も経験した通りの行動を起こしたはずだった。

 それなのに、なぜこんなに見られているのかと不安になる。

 食事方法が下級貴族と上級貴族で違うなんてことはないだろう。もしあったら夜会デビューの前にきっちり仕込まれているはずだ。

 なんといっても私の夜会デビューは王都で開催されたものだったのだから。
 緊張していたとはいえ、記憶がほぼないとはいえ、頭より身体に覚えこませるタイプの私なら教えられた通りに実行していたのだろう。

 違ったら恥ずかしすぎる……。恥をいろんな場所でさらし続けていたことになるのだから。

「ふふふ。変なことを気にするのね。心配しなくても何も間違ってなんかないわ。初日だってちゃんと綺麗に食べていたじゃない。気張らずに好きなだけ食べてちょうだい」
「……はい」

 どうやら間違えてはいないようだ。良かった、良かった。恥ずかしさのあまり身近な山にでも籠もりだすところだった。

 何はともあれ初日も大丈夫だったようだし、未だに身体に覚えこませたマナーは健在のようだ。

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