愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 お義母様が納得したように去って行くと、ラウス様は何かを思い出したかのように肩を揺らしてからこちらへ身体を向けた。

「そうだ、こんな言い合いしている場合じゃなかった……。モリア、大丈夫か? せっかく着替えてくれたようだが外出は今度にしよう」
「ですが、私はどこも悪くありませんよ?」

 きっとこの様子からすると、この前みたいにずっとラウス様は私の隣にいることだろう。

 せっかくの休みに看病で潰すのは申し訳ない。本当に体調が悪いならともかくとして、熱があるわけでも咳が止まらないわけでも、はたまた背後から鈍器で殴られるような痛みに襲われているわけでもない。私はいたって健康だ。

「無理はしていないか?」
「大丈夫です!」

 心配性らしいラウス様に少しだけ強めに問題ないとアピールをすると「そうか」と心底安心したように頬を緩ませた。

 そしてラウス様は自分の手と私の手の指を絡ませるように繋いだ。

「なら朝食を食べてから行こうか」
「……はい」

 ラウス様は慣れた仕草で、流れるように繋ぐのに顔だけは赤らめるものだからこちらも妙に意識して顔が赤くなる。

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