愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 それが本心から出た言葉であると納得したのか「そうだな」と嬉しそうに笑った。

 もしかして恥ずかしくて前を向いていたのではなく、自分の案が否定されることを恐れていたのだろうか?

 場所がどこであろうと従うだけで拒みなどしない。出来ればここ数日の運動不足が解決するような場所が良かったなんて口が裂けても言いはしないのだ。



 食事を手早く、けれどやはり昨日と同じだけの量を食べた。そして用意されていた馬車にラウス様に支えられながら乗り込んだ――まではよかったのだが、距離が妙に近い。

 馬車なのだから当たり前だ?
 馬車の大きさが爵位と比例しているということもなく、サンドレア家と内装の差はものすごいものがあれど広さは同じなのだ。

 だが今までこんなに相手との距離を気にしたことがあっただろうか? 
 おそらく一度もない。家族はもちろんのこと、ハーヴェイさんとご一緒した時も、ラウス様と初めてあった時も息苦しさを感じこそすれど距離はそこまで気にしなかった。

 では私の意識し過ぎではないか?
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