愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 うっすらと涙がにじむ目で見上げれば、愛おしそうに頬を撫でられる。優しい手つきだ。けれど彼は簡単に逃がしてなどくれない。

 覚悟を決めて、ラウス様の首に手を回す。そしてゆっくりと彼の唇と自分の唇をくっつけた。

 ほんの一瞬。音すらない。
 けれど十分恥ずかしくて。腕を放して顔を覆ってしまおうとした。

 けれどラウス様がそれを許してはくれなかった。

 私の頭を大きな手で包み込むと、むさぼるようなキスをする。
 何度も何度も繰り返され、酸素を求めるように口を開く。すると門が開かれるのを待っていたかのように舌を滑り込ませ、口内を犯していく。

 舌を絡め取られ、唾液を搾り取られる。
 やっと解放されたかと急いで息を吸えば、すぐに角度を変えては侵略を繰り返す。

 私は息をするのもやっとなくらいなのに、ラウス様は器用にもネグリジェへと指を滑らせる。

 肩を結んでいただけのそれはすぐにストンと落ちてしまい、わずか数ミリほどの壁はすぐに瓦解してしまう。

「本当にモリアは可愛くてたまらないな。愛してる、モリア」
 耳元で囁かれ、私はその身をラウス様に預けたのだった。




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