愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 私はと言えば多少手先が器用で、体力だけは他の令嬢よりもずっとあるといったところだろうか。どんな色眼鏡をかけてみたところでやはり貴族のご令嬢としては全く自慢にならないものばかりだ。

 幸い私とラウス様は婚約を交わしていない。
 けれどそれは婚約を執り行うよりそのまま式の準備をしてしまった方が早いから。

 式は約一ヶ月後。
 それまでにその相手を見つけられれば私は未婚の、多少行き遅れぎみの令嬢で済むのだ。

 処女を失った、なんてマイナス部分は言わなきゃバレない!
 カリバーン家側だってラウス様にもマイナスになるようなことを言いふらしはしないだろう。

 この屋敷に来てから時間だけはある。

 ならば今からでも豪商に見初められるような令嬢を目指してみようではないか!

 それだけの器量が身につけば、カリバーン家がほんの一時だけ懇意にした女としても恥ずかしくはないはずだ。

 というよりもこのままだいくら間違えられたのは私のほうだとはいえ、カリバーン家に申し訳なさすぎる。

 せめて下級貴族でもこのくらいできれば娶ってもおかしくはないと言われるくらいには頑張りたいものだ。


< 178 / 341 >

この作品をシェア

pagetop