愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 夕日と花瓶の花達に向けてまた一つ、以前掲げた目標に新たな項目を継ぎ足したのだった。


「お帰りなさいませ、ラウス様」

 豪商に見初められるような令嬢、もとい下級貴族出身でも上級貴族の嫁として笑われない程度になるための第一歩は、旦那様によく仕えることだ。

 これは今までのこととあまり変わらないが、大事なことだ。
 一歩目から大きく踏み出したら躓いて終了すること間違いなし。出来ることから着実にこなしていくことこそが重要なのだ。

「ただいま、モリア」

 ラウス様の表情からしてこの選択は間違いではないのだろう。

 今後はこれに、朝の挨拶も加えて取り入れることにしよう。小さな一歩でも続けることが大事なのだ。

 継続は力なりとお兄様も毎朝の鍛錬の時に言っていた。

 機嫌がいいラウス様といつものようにダイニングルームへと向かう。やはりいつも通り机一面に並んだ食事をありがたくいただいていると、ラウス様が口を開いた。

「今度は星空を見に行こう。約束通り、宝石なんかよりも綺麗なものを」
「はい」

 記憶は残ってないが、どうやら天体観測をすることで宝石購入を回避したらしい。

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