愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 けれどそれを瞬時に引き締め、アンジェリカの『反抗』を終わらせるために畳みかける態勢に入る。

「アンジェリカ様。本日のダンスのレッスン、モリア様がご一緒して下さるそうです。ですから出てきて朝食をお摂りになってください」
「本当、ですか?」
「ええ。アンジェリカのダンス、見せていただけませんか?」
「ええ! ええ、もちろんです!」

 ダンスを見せて欲しいと言っただけなのだが、それだけでアンジェリカには効果抜群だったようで、わずかだった隙間はやがて大きく開かれた。

「シェード、今すぐに用意しなさい! お義姉様に見せるのなら完璧なものにしなければいけませんわ! 先生はもう来てらっしゃるの?」
「もうすぐお見えになると思います」
「なら早く朝食を摂らなくっちゃ。お義姉様!」
「は、はい!」

 やる気を見せたアンジェリカに触発されるように返事をすると、まだ小さな手で私の手を握りしめた。

「必ずやアンジェリカはお義姉様に完璧なダンスをお見せいたします。夕刻、シェードをお義姉様のお部屋に向かわせますので、どうかそれまでお時間をいただけないでしょうか?」
「え、あ、はい」

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