愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 ……よくよく考えると私に婚約者が出来ない理由、そしてそもそもダンスにすら誘われない理由ってお兄様にも非はあるんじゃないかと思ってしまう。

 もちろん大半は私が地味で目立たないのが理由だろうが、わざわざ夜会に行ってお兄様たちと踊り続ける令嬢というのも私の他には聞いたことがない。

 お兄様たちと代わる代わる数曲分踊り終わると私はすぐに仲良くしてくれる令嬢たちの輪に加わり、耳寄り話に花を咲かせていた。その間にご子息たちからダンスに誘われる暇などないのだ。

 それを今になって気づくとは……。遅い、遅過ぎる!
 そんなんだから嫁ぎ遅れたのだ。

「モリア様?」

 先生の声に我にかえると差し出された手に手を重ねる。

 だがまぁ、今さら悩んだところでどうにもならないのだ。先生が相当な腕前か、彼もお父様のように踏まれ慣れているかを祈る他なさそうだ。後は、まぁ……努力をしてみることにしよう。

 私の心中など知らない彼はそっと微笑み、目尻にシワを刻んだ。

「お義姉様、お上手ですわ!」

 結論から言おう。
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