愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 しばらくして、お帰りになるのだという先生に感謝の意味を込めて玄関まで見送りに行くと、先生と入れ替えになるようにしてお義父様とラウス様の馬車が走ってきた。

「お帰りなさい、お父様、お兄様!」

 アンジェリカは馬車から降りたばかりのお義父様とラウス様に駆け寄ると、自慢げに今日の出来事を話し始めた。

「今日はお義姉様のダンスを見せていただいたのです! まるでお義姉様の周りだけ世界が切りとられたかのような神々しさ! さすがお義姉様ですわ!」

 なぜか一日の成果の最後の部分を重点的に話したアンジェリカ。

 褒めてくれるのはありがたいのだけど、誇張しすぎというか、事実と異なる表現というか……。

 ラウス様もさすがにそんなの信じるわけがないけれど、それでもやはり居心地が悪いことには変わりない。

「そうか。モリア、私とも一曲踊ってくれないか?」

 こちらに歩み寄り手を差し出すラウス様は楽しそうな笑みを浮かべている。アンジェリカの言葉を信じていないと思いたい。

「えっと……私、ダンスはあまり得意ではなくて、ですね……」

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