愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 お父様は娘である私を大切にしてくれていたが、それはラウス様も同じなのかもしれない。ラウス様という人は愛した女性はとことん大切にする男性なのだろう。

 ……人違いだが。

 本当に私がここに居てもいいのかと考えては日に日に心が痛くなる。
 人違いをしたのはラウス様の方であり、未だに彼は私が想い人なのだと思い込んでいる。

 そして彼が本当に想いを寄せる相手が誰なのかがわからない今、借金のある私がとれる行動など限り少ない。

 だが結婚式前に、婚姻を済ませる前に本物を探し出すことがカリバーン、ひいてはラウス様のためになるのではないかと思わずにはいられないのだ。

 あまり頭のよろしくない私が多く抱え込んだところで解決なんて出来ないだろうとはわかっている。

 サンドレアのためを思うなら私は初めに下した判断通り、何事もなかったようにここにいるのが正しいのだ。本物が見つかった時に退けばいい。

 ……そのはずだったのに、こうも思ってしまうのはきっとこの屋敷の人たちが優しすぎるからだろう。向けられた優しさに申し訳なさが募る。

「モリア、手を……」
「……はい」

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