愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 あの日自らが身につけたのと同じように、一番上のお姉様は髪飾りとタイに、二番目のお姉様はハンカチに、三番目のお姉様はさすがに今からサイズはわからないからとその日に来たドレスに刺繍を加えて、将来はこのドレスを解体して新しく作ってもらうのだと言っていた。

 私が嫁入りをする時はお姉様達が協力して作ってくださるという約束だったのだが、それを私が目にする日は来るのだろうか。


 ただでさえ私はサンドレアの家に生まれながら愛より金を選んだ異例の人間である。
 もしラウス様との婚姻を結ぶ直前に破棄できたとしてもその事実は変わらないのだ。

 カリバーンに身を移してから手紙でそのことを知ったであろうお姉様達はそんな私を軽蔑しないだろうか。

 そしてもしラウス様の勘違いを解いた後でサンドレアの家に帰ったとして、私に居場所はあるのだろうか。

 …………きっとあるはずだ。

 あると思いつづけなければいけない。
 そうでなければ気持ちが揺らいでしまいそうになる。愛より金を選んだのは紛れもなく自分自身で、今だって後悔なんてものはないのだ。

「よし!」
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