愛より金を選んだ男爵令嬢は人違いで溺愛される
 いずれ知るだろうと後回しにしていたツケが今にしてやって来たのだ。

 ラウス様にとって、サンドレアの人達にとって愛とは何にも代え難いものであろう。だからお父様もお母様もあんなにも必死で止めたのだ。

 重さを知っている反面でその残酷さをも知っていたから。

「ごめんなさい」

 食事を拒むようにして自然と小さくなっていく私の口から溢れるのは謝罪の言葉だった。
 自らのことしか考えずに他人を傷つけてしまったことを後悔するにはあまりに小さな言葉。

 だがその声すらもラウス様の耳に届いたらしく、彼が返したのは私にはあまりにも優しすぎる言葉だった。


「モリアは何も悪くない。悪いのは間違えた私の方だ」――と。


 半分以上を皿の上に残してラウス様はその場を後にした。そしてそれに続くようにして私も。

 だが、行く先は真逆。
 ラウス様は玄関に、そして私は与えられていた部屋に。

 物なんてほとんどないけれど、やり残したことは一つだけある。だからそれを片付けに行くのだ。

 彼らは受け取ってくれるかわからない。
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